泌尿器科
Urology
泌尿器科は主に腎臓や膀胱の病気の治療をします。
代表的な病気として膀胱炎、尿結石、慢性腎臓病などが挙げられます。
主に頻尿、血尿、飲水量の増加などで飼い主様が気付かれることが多いですが、腎臓病は知らぬ間に進行するため、注意が必要です。
膀胱炎
犬では感染による細菌性膀胱炎、猫では原因がはっきりしない特発性膀胱炎が多いとされています。
○主な症状
血尿、頻尿、尿が臭い、排尿時に痛がるなど
○診断
まずは、尿検査により尿の状態を確認します。
炎症反応、出⾎の有無、細菌、尿結晶などを調べることができます。
膀胱炎のような症状がある場合、可能な限り尿の持参をお勧めしています。
当院では採尿キットを無料でお配りしています。
また、X線検査・超音波検査などの画像検査で膀胱壁の腫れ、結石、しこりの有無を確認します。
○治療
短期的な痛み止めの薬で治る場合は良いですが、繰り返す膀胱炎の場合は尿の細菌培養検査に基づく治療が必要です。
細菌培養検査の場合は、動物病院内で無菌的に、採取した尿が好ましいとされているため、膀胱穿刺(お腹に細い針を刺し尿を採取する)を実施します。
繰り返す膀胱炎の場合、甲状腺・副腎などのホルモン疾患や糖尿病などの病気が隠れている可能性があるため、全身検査が必要になることもあります。また、猫の特発性膀胱炎の場合、原因がはっきりしないことが多く、生活環境改善や食餌療法が必要になる場合があります。
尿結石
尿に含まれるミネラル成分が結晶化し、腎臓や膀胱で結石となります。
代表的な尿結石としてストラバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)、シュウ酸カルシウム結石などがあります。
○結石形成の主な要因
体質、食事、飲水量・尿量が少ない、膀胱炎になりやすいなど
○診断・治療
膀胱炎と同じく、尿検査・画像検査によって診断致します。
○ストラバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)
尿のアルカリ化、細菌性膀胱炎(特に犬)が原因として挙げられます。
食餌療法・抗菌薬投与・飲水量増加のよって結石を溶解させることが可能ですが、全ての結石が溶解できるわけではなく、結石による尿道・尿管閉塞を起こす危険性がある場合は手術が必要になります。
また、再発防止のために食餌療法継続が必要になる場合があります。
○シュウ酸カルシウム結石
高カルシウム血症などが原因として挙げられます。
食餌療法で結石を溶解することができず、手術による結石摘出が必要になります。
また、結石摘出後も再発防止のために食餌療法や薬の継続投与が必要になる場合があります。
症例 膀胱結石の1例
多数の膀胱結石が見られました(赤矢印)
食餌療法・抗菌薬投与を実施
この子の場合、幸いにも内科療法で改善致しました。
今後は再発に注意が必要です。
症例 膀胱結石の1例
多数の膀胱結石が見られました(赤矢印)
この子の場合、幸いにも内科療法で改善致しました。今後は再発に注意が必要です。
食餌療法・抗菌薬投与を実施
慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病は症状が出ないことが多く、定期的な健康診断で偶発的に発見されることが多いです。
診断される時には病状がかなり進⾏している事があります。
○主な症状
飲水量・尿量の増加、痩せてきた、元気食欲が落ちてきた、脱水、嘔吐など
○診断・治療
数ヶ⽉に及ぶ持続的な腎臓数値の上昇、尿異常、腎臓の構造異常が認められた場合、慢性腎臓病と診断されます。
診断後にIRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)の分類によって腎臓病のステージ分類(重症度)を評価します。
そのステージに基づいて治療を進めます。